進化している環境への取り組み!画期的な排水処理装置AT-BCシステム

私たちが日常生活や経済活動を行うに伴い、どうしても発生してしまう廃水。これをきれいにして河川に放出してくれるものが排水処理装置です。

私たちが抱えている問題のひとつである水質汚染などの問題も、将来的には今よりももっと規制が強化されることは想像に難くありません。そのため、水質汚染を最小限に抑え、資源を循環させるために、日々技術革新が進められています。今回は有機系廃水処理に適したAT-BCシステムを例に、排水処理装置についてご説明します。

AT-BCシステムとは、活性汚泥法と回転生物接触法を進化させた廃水処理システムで、様々なメリットがあります。

今までの排水処理の手法は、活性汚泥法という方法でした。活性汚泥法とは、廃水から汚泥を取り除き、廃水をきれにしていく過程で、微生物が汚れを分解する力を使って浄化処理を行う方法です。

微生物は酸素によって動きが活発化するため、曝気槽(ばっきそう)という大きなタンクに酸素を送る必要があり、従来は曝気槽の大きさが大きなネックとなっていました。

AT-BCシステムでは、曝気槽に汚水を通す前に、AT-BC装置という立体回転装置に汚水を通すため、曝気槽が小さい容量のもので済むようになりました。また、AT-BCシステムでは、有機物の分解を行う微生物にバチルス菌を使用しています。

バチルス菌とは、良質な土壌に多く生息し、ウーロン茶・納豆・味噌など発酵食品などの一部に含まれる好気性菌です。従来の活性汚泥法で用いる微生物と共存しつつ、在来菌と比較しても高い分解能力を持っているため、汚水の浄化におおいに貢献します。

また、バチルス菌は脱臭装置を不要にするほどの優れた消臭能力があります。瞬時に臭気を抑制するため、排水処理過程で大きく悪臭を除去することが可能となり、排水処理工場の周辺環境への影響も減少します。

AT-BCシステムは既存の設備を生かしたまま、増設することもでき、コスト削減にも役立ちます。年間の消費電力も最大で1/3削減し、処理時に発生する副産物の処理水や汚泥は、
畜産の飲用水や、農作物の栽培用水、土壌改良材に再利用することが可能です。

限られた資源は、できるかぎり再利用し、循環型の社会を形成することは私たちが取り組むべき課題です。環境を守るために何ができるか、何が行われているかを理解し、日常的にできることから始めていきましょう。